コラム
時短だけが効率化ではない
最近「タイパ」という言葉を耳にする機会が増えたように感じます。
あまり聞かなかった概念ですが、あっという間に広まりました。
知らない人のために補足すると「タイパ」とは「タイムパフォーマンス」の略です。
短い時間で高い満足度を得られることを意味します。
タイパを重視する社会では、
・動画は倍速で視聴
・最低限のコミュニケーション
・結論を急ぐ会話
といった傾向がみられるようです。
仕事の場面でも「なるべく早く成果を出したい」と急ぎ過ぎる人がいます。
しかし、成長においては急いでも意味がないなんてことも多いのです。
■ タイムパフォーマンスの高さに価値がある時代
そもそも、世の中が「タイパ重視」になった背景には、次のような要因があります。
・毎日忙しい
・情報が溢れている
・効率よく進めなければならないという意識
・「無駄を省く=良いこと」という価値観
こうして「タイパ良く生活すること」に価値がおかれるようになってきました。
その流れで、仕事においても「最短ルートで成長したい」と考える人が増えました。
「すぐに出来るようになりたい」という姿勢自体は素晴らしいことです。
しかしその一方で、立ち止まって考える余裕を失っている人が少なくないのも事実です。

■ じっくり考えることがパフォーマンスを高める
仕事においては、あえてゆっくり取り組むことが大切な場面もあります。
というのも、「早く知ったこと」は意外と身に付きにくい傾向があるからです。
・要点を読んだのに、人には説明できない
・やり方は理解しているけど、理由がわからない
こうしたケースが増えています。
タイパを重視しすぎると「わかったつもり」で物事を終わらせてしまいがちです。
それは、「こなしたスピードが成果の目印」になってしまっているためです。
この状態が続くと、自分で考えたり応用したりする力がなかなか育ちません。

■ 急ぐことだけが正義ではない
社会人になると、覚えるべきことが増えていきます。
そんな中で、「あえて時間をかけること」が結果的に効率を高める場面もあります。
・資料をじっくり読んだら、質問が減った
・一度手書きでまとめたら、記憶にしっかり残った
実際、急いだことで後からやり直すはめになることも少なくありません。
本当にタイパを高めたいのであれば、「急がば回れ」が最強なのかもしれません。

■ まとめ
情報が溢れる現代において、「タイパを重視する」のは自然なことです。
ただし、それが目的化してしまうことには注意が必要です。
・なぜ効率化をするのか
・効率化した先に何を得たいのか
・余った時間をどう使うのか
こうした問いを持つことが、意味あるタイパに繋がります。
時短や効率化はあくまで何かを達成するための手段にすぎません。
時には、長い目で見た時のタイパを意識することも大切です。